ダンスは揃えたほうが良いのかどうか?
揃えるとしたらどうやって揃えればいいのか?
大人数の揃え方のコツは?
ダンスを揃えることについて書いていきます。結論からいうと次のようになります。
・大人数なら揃えたほうがいい作品の完成度が増す
・少人数でも揃えたら見せたいものが見せられる
・基本を知った上での崩しならばOK
この記事はこんな人にオススメです!
・大人数のダンスを揃えるやり方を知りたい人
・ダンスって揃えるべきなの?と疑問に思っている人
・ダンス部の人
この記事を書いているのは、ダンス指導歴17年の現役ダンスインストラクターです。ダンス部のコーチとダンススタジオを経営しています。
それでは宜しくお願いします!
そもそもダンスは揃えたほうが良いの?
ダンスを揃えたほうが良いのかどうかについてです。これについてはいろんな人の意見があると思います。
ダンスはカルチャーだ!全て揃える必要はない!
ダンスはカルチャーで個々の特性を強く意識している人はダンスを揃える必要は無いと言います。
確かにそうです。カルチャーとしてのダンスは自分を表現するもの。誰かに合わせて、ダンスはこうじゃなきゃいけないとかではなく、カルチャーとしてのダンス、ストリートとしてのダンスが根強いものだからダンスを揃えることは必要ないという考え方です。
私もダンスはスポーツでは無いと思います。スポーツのように競い合うのではなく、自己表現の一つであるのがダンスという位置づけで今までやってきました。
ダンスは表現の一つであるから自由に踊ればいいんです。
しかし揃えることが必要な場面もダンスにはあるのです。
つまりは、ショーとしてのダンスです。
ショーとしてのダンスは求められるものが違うってこと
ただし、舞台に立ってショーとしてダンスをする場合はストリートダンスであっても求められるものは作品の完成度です。
ダンス作品の完成度を高めるにはダンスが揃っていなければいけません。
完成度=ダンスが揃っているかどうか
ダンスが揃うことで作品の完成度が高まりますから揃えるダンスを求められるのです。クラブで音楽に合わせて身体を揺らして踊ることには揃える必要性なんてないのですが、劇団四季のライオンキングを観に行ってダンスシーンがクラブでダンスしているようだったらなんか金返せ!って気になりますよね?(笑)
作品の完成度を高めるにはダンスを揃えた方がいい
カルチャーとしてダンスが生まれたわけですが、ショーとしてのダンスが多くの人の心を掴んでいきました。
人間は綺麗なもの揃っているものに感動する
人間は綺麗なものや完成されて揃っているものに心を動かされるのです。機械ではなく、不完全な人間が限界まで揃えられるものを見ると
「綺麗!」
「こんなに揃えられるものなの!?」
っと思うのです。
↑最初から30秒くらいまで。このシーンのシンクロ率がすごいですよね!
大人数であればあるほど揃えるというのは難しくなるので想像以上に揃えられているものは人は目を奪われ、心を動かされてしまいます。
全員がバラバラは気持ち悪い
ダンスは自由、好きに踊っていいと思います。しかし全てがバラバラなダンスは正直言って気持ち悪ささえ覚えます。
つい先日、とあるダンスレッスンに参加して感じたことがあります。そのダンスレッスンの場では5人くらいのグループに分かれてダンスを自分の好きに踊っていいというものでした。3分くらい好きに踊っているのを先生がスキル審査するというもので、その場で初めて聴いた音楽に合わせて5人がそれぞれ同時に即興で踊ります。
その光景を見学しながら、ちょっと見ていて気持ち悪くなりましたね。人の踊っているところを見てオエーッ!って感じがしたのは初めてでした。そんなのを顔に出したら超失礼になるし、私も真剣にレッスンを受けていたのでひたすら我慢です。
しかし真剣に見れば見るほど、音どりも揃っていない、形もバラバラ。個々で一人を中心に見ることはできますが、バラバラの5人全員のダンスを見ようとすると正直気持ち悪くて見ていられませんでした。
ダンスが上手い下手とか関係ないんです。とにかく気持ち悪いという感覚に襲われた私。ダンスを揃える大事さをまた改めて知るのでした。
音どり・シルエット・リズム・全てがバラバラだと気持ち悪いです。
揃ってなくても成立する場合もある
個々がダンスのスキルが高く、それぞれのダンスが完成されたものであれば、揃っていなくても成立するショーもあります。ですがこれが成立するのはプロの域でありますね。
しかしプロでも音の取り方は揃えているでしょうから、ショー作品を作るのであれば最初から最後まで揃えないっていうのは超危険ですね。
それでも揃えたくないのであれば、ソロダンサーとしてやっていけば良いと思います!それかコンテンポラリーなど型にはまらない表現をすれば良いですね。
自分のダンスを確立させて、一人で踊れば揃える必要なんてないのです。
ダンスを揃えるのは意思疎通がいる
ダンスを揃えるというのは揃える人と人との意思疎通が必要になります。ロボットではないですからね、人間は。
「ここはこうしよう!こんなこんな感じで音を取ろう!」
揃えることによってコミュニケーションが生まれていくのです。
↑シルエットは違うけど音どりを揃えています。
自分の形シルエットにこだわりすぎて正解がわからない
ダンスを自分のスタイルで踊り通す人っていますよね。あれも良いとは思います。でも振付師としては、まずは自分の忠実な形をしっかりできるようになってから崩していってほしいというのが心情です。形に忠実でないからどれが正解かわからないようなダンスは仕事において重宝されません。
バックダンサーを目指している人などはまずは振り付けに忠実なダンスをしっかり覚えることが最優先です。クセだらけで振りつけに忠実に踊れないとなると仕事になりませんから要注意です。
ダンスは揃えたほうがいい!
ダンスは揃えたほうがいいです。揃えたほうが見やすいし伝わりやすいからです。お客さんに伝えたいものが明確であって、心動かすようなダンス作品を作るのであればダンスを揃えたほうが確実に良いのです。
ダンスの中には揃えられるものは色々あります。
・音どりを揃える
・リズムを揃える
・衣装を揃える
・ポーズを揃える
・角度を揃える
・視線を揃える
全てを揃えるのも良いですし、揃えるところと揃えないところを作ってみても面白いです。私がダンス作品を作る場合は揃えるところと揃えないところを作ります。そのほうが揃っているところがさらに揃って見えたりするし、あえて揃えない部分にはダンサーの個性が見え隠れします。
しかし、全て揃わないとなると観ていて気持ち悪いのでショーとしてのダンスならば観てる人の気持ちも考えてくださいね。
ダンスを揃えるやり方とコツ 少人数&大人数
それではダンスの揃え方のやり方とコツをレクチャーしますので参考にしてみてください。
ゆっくりカウントで覚える
まず振り付けを覚えるのにはゆっくりカウントで覚えると良いです。その時に意識するのは身体の部分の角度に意識しましょう。
・胴体の正面はどこ?
・腕の角度は何度?
・足の開きの角度は?
一つ一つの動きの角度を揃えていくようにします。ゆっくり、時間をかけて角度を徹底して全員覚えましょう。
最初から音で何度もやっても角度は揃わないです。音無しで最初は角度を意識して覚える。身体が覚えられるようになってきたら音に合わせるようにしていきます。
①踊る部分を細かく分ける。(8×4ずつ など)
②カウントでゆっくり角度を意識しながら覚える
③身体で覚えられたら音楽をかけて練習
いわゆる踊り込みってやつですね。この作業は繰り返しやることでダンスの精度が上がってきます。特に手の角度、腰の高さはバラつくと精度が落ちますのでしっかり合わせるといいでしょう。
大人数ならば正解者を最前列にして一列に並ぶ方式が早い!
大人数で効果的なのは、振り付けの正解者を一番先頭に立ってもらって、その後ろに他の子が一列に並んで角度を揃えていくやり方です。
学校でいう朝礼の時の生徒の整列方式です。
このやり方が良いのは、角度が揃えやすいということです。
大人数だと一つの角度をシェアするのにも時間がかかります。一列になって角度を揃えるようにすると前の人と同じ角度を作ればいいのでわかりやすいのです。
もう一つ良いところといえば、前から見ると誰がズレているのかがはっきりわかる所です。前で見ている人を作っておくと練習がスムーズですね!
大人数を揃えるには一列に並べてみましょう!角度を揃えるのに最適なやり方です。
ダンスを揃える時のコツとポイント
ダンスを揃えるときのコツとポイントを教えます。参考にしてみてください。
頭の高さを揃える
ダンスを揃えるときに、頭の高さを揃えると揃って見えるようになります。
背格好がバラバラで同じ動きをしてもバラつくということです。
例えば頭を低くしてしゃがむ振りがあるとします。背の高い人と背の低い人が同じだけしゃがんでも頭の高さは揃いません。ですから頭の高さを揃えるように心がけてみてください。そうすると高さを揃えられるようになります。
背の高い人は背の低い人の高さに合わせてみましょう。そうすることにより高低差をつけられてダイナミックなダンスになります。
↑1分30秒あたりの全体で低くなる所、頭の高さ合ってますよね!
背の高い人が低い人に合わせるのって超絶大変です!膝の屈伸をしっかり使いましょう。
HIPHOPを揃えるのって難しい
チアダンスとかはアームの形などが決まってるし、ロックダンスもポイント、ロックの形が決まっていますから揃えるのは割と難しくないんです。
しかしHIPHOPダンスを揃えるのって超絶難しいです。細かいニュアンスは揃えるのに苦労します。
ですからHIPHOPはリズムの強弱を揃えると揃っているように見えます。
角度も大事なのですがHIPHOPで大事にすべきなのはリズムですね。音へのアプローチ次第で揃って見えるかも変わってくるのです。
その他 ダンスを揃えて見せる方法
あとは衣装を揃えるとダンスは揃って見えます。視覚効果ってやつですね。
衣装がバラバラだと全体的に揃って見えません。ですから揃えて見せたいダンスは衣装を揃えたほうがいいでしょう。
バラバラだとしても色だけでも揃えるとダンスは揃って見えますよ!
↑色だけ揃えてます。GRVというダンスチームなのです。HIPHOPのシンクロ率がすごいです。揃ってるし迫力あるしでヤバいやつです。
まとめ:見てくれる人がいるなら意識してほしい
ダンスを一人で自由に踊るのならば好きに踊ればいいです。しかし見てくれるお客さんや審査員、対象者がいる場合は違います。見てくれる人がいるのなら揃っていたほうが圧倒的に綺麗で美しく見栄えが良いのです。
ダンスは見てくれる人がいるものだと私は常に感じています。
見てくれる人を意識して完成度の高いダンス作品で心を撃ち抜いてください。そのために、揃えることは必要です。
最後まで読んでくださりありがとうございます。
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