最近、高校ダンス部は人気傾向にありますがコーチや指導者がいない高校も多くあります。そんなコーチのいないダンス部さんへの大会作品のストーリー作品の作り方をアドバイスします。
この記事の信頼性としては、
・私が現役ダンス部のコーチであること
・ダンス部の作品にかれこれ17年携わってること
・ダンス部の作品で優勝・入賞経験があること
ダンス部の良い作品をたくさん見たいので作り方のコツを読んで、大会作品作りの参考にしてくだされば何よりです。
ストーリー性のあるダンス作品とは
ダンスの作品の中にストーリーが組み込まれているものがあります。ストーリー作品というのは、ダンスの演技の中に起承転結のあるもののことです。
例えば、桃太郎というタイトルだとしたら
起 桃が流れてきて桃太郎生まれる
承 鬼退治に行くことになる
転 犬・猿・キジが仲間になる
結 鬼を退治して鬼退治
このように起承転結のあるものがストーリー作品として位置づけられています。
ダンス作品をストーリー性のあるものにすると次のようなメリットとデメリットが生まれます。
ストーリー作品のメリット
見てる人がわかりやすく伝わりやすい
ストーリー性のある作品は見ている人にわかりやすいのが一番のメリットです。わかりやすいということは、見ている人が感情移入しやすくなります。
たとえば「ドラえもん」がストーリー作品だったとしましょう。のび太くんに災難が起きて、ドラえもんに泣きつき、道具が出来てきて使って、最後にオチ。このように誰でもわかるストーリーはわかりやすく親しみやすく、見ている人の心をキャッチしやすくなります。
作品をつくりやすい
ストーリーが決まっていれば、その内容がわかるようにダンスを創作していけばいいので、ダンスを作りやすいのです。ダンスの創作、振り付けをつくるのに慣れていないのでしたら、ストーリーを追ったほうがあきらかに作りやすいです。
ストーリー作品のデメリット
オリジナリティを出すのが難しくなる
ストーリー性のある作品を作ろうとするとき、ストーリーがわかりやすいとオリジナリティが薄れていきます。
どういうことかというと、前述した「ドラえもん」を例に挙げるとしたら、ドラえもんというのは日本人ならば誰もが知ってるストーリーなので、ダンス作品にしたとしてもわかりやすくて良いのですが、そもそもドラえもんというアニメのストーリーが既存であるわけなのでどれだけオリジナルだと言い張ったとしてもそれは既存のドラえもんというアニメの上に成り立っているものなのでどうあがいてもパロディにしかならないんです。
パロディは本物を超えられません。ですから作品のオリジナリティは薄れていくのです。
ストーリーを追いすぎて内容が稚拙になる
ストーリー作品には起承転結があるとお話しました。ですがダンスよりもストーリーを追い求めすぎて内容が薄っぺらいものになる傾向があります。ストーリー性のある作品をつくるときはそのストーリーが伝わらなければもはや意味がありません。ですが、内容をしっかり入れないとお遊戯会みたいになってしまいます。
やってはいけないストーリー作品3つ
私がコーチをするダンス部の生徒に、これはやってはいけないと言っているストーリー作品を3つあげます。やってはいけないというのには理由があります。
おもちゃが夜中に動きだす系の作品
起 おやすみなさーい 子供が寝る
承 おもちゃたちが勝手に動きだす
転 子供が気付いてびっくり 一緒になって楽しく踊る
結 朝が来た おもちゃが元に戻っている 夢だったのかー
このストーリーがやってはいけないという理由は、おもちゃが動き出して最後夢オチは審査員は腐るほど見てきてるので既に飽きてるからです。そしてこれ系のダンス作品はどこも同じ夢オチ。ダンス作品をもう何年も見ている審査員には最後がどうなるかわかってしまっているし、夢オチ以上に素晴らしいオチをつけたチームを私は今まで見たことありません。
たしかに、ストーリーはわかりやすいのです。中学生がやったらまだ可愛いですが、高校生が踊っても可愛いって思わないのは私だけでしょうか?
コミカルな警察と泥棒の追いかけっこ系
起 警察と泥棒がいる
承 泥棒が脱走
転 警察が追いかけるて捕まえる
結 泥棒が捕まったー
警察と泥棒の追いかけっこ系の作品がダメなところはダンス作品にすると中身が稚拙になってしまうからです。本物の警察と泥棒はコミカルにはならないし、最後のオチも、いろんなパターンを見てきましたが、脱走してまた捕まるとか、仲直りして一緒に踊るとかですが、どれも稚拙で面白くないです。コミカルになることでリアリティもありません。この警察と泥棒のストーリーも審査員は死ぬほど見てきて飽きてると思います。
ゾンビが墓から出てきて踊る系
起 お墓からゾンビがノソノソ出てくる
承 踊る
転 踊る
結 墓に戻る?
ゾンビ作品ってとってもインパクトありますよね。いろんなゾンビ作品を見てきて思ったのがゾンビ作品は出オチっぽくなってしまいがちです。出オチというのはお笑いの舞台に出た瞬間に笑いが起こることで、出だしがピークという感じです。ゾンビ作品ってあんまり広がらないんですよね。だから出オチっぽくなりやすいです。
そしてゾンビ作品はマイケルジャクソンのスリラーのPVのダンスを超えることができません。
この3つのストーリーはどの高校もやりすぎているので出尽くしています。そして作品のストーリーの題材にするのであれば、より深く内容を詰めなくてはこの3つでは大会には勝てません。厳しく言いますがはっきり言って見飽きてます。ですのでこの3つを題材にするのは避けた方が良いでしょう。
ストーリー作品をつくる時のポイント
ストーリーにはオリジナリティを組み込む
ストーリー作品を作るときには、オリジナリティ溢れる作品にしましょう。
例えば、ロボットを題材にしたストーリー作品にするならば、ロボットのオリジナリティ溢れるストーリーを起承転結でつくってみることです。想像するだけでワクワクしますよね。オチも自分たち次第なので見ている人は最後まで目が離せなくなるでしょう。
既存のストーリーを使いたい場合は、そこにスパイス的要素があると良いです。例えば、ストーリーが「ウサギと亀」という既存のストーリーだとします。ただ単にウサギと亀の競争を表すとオリジナリティが出せないので、競走してゴールした後を自分たちで想像して創ってみるとか、見たこともないような内容に作り込んでも面白そうですね。
蒔いた種は必ず拾う
ストーリー性のあるダンスをつくる時は、蒔いた種は必ず拾いましょう。どういうことかというと、起承転結があるにも関わらず、最後はストーリーを無視してわけわかんない作品のことをいいます。このような場合、ストーリー性のある作品の良さは激減です。
オチをつける
ストーリー性のある作品には、しっかりとしたオチが必要です。オチをつけないと「だから何?何が伝えたいの?」と見ている側に疑問が残ります。ストーリーの着地点はどこなのか、明確に表現しましょう。
まとめ:ストーリー作品の内容を深めよう
ダンスをストーリー作品にする時、オリジナリティは欠かせません。大会作品をストーリー作品にする時には上記のポイントを押さえるだけど作品のクオリティがグッとあがります。想像力と独創性が重要となります。良いダンス作品を世に生み出しましょう。
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